タイ会計|債権・債務の相殺処理
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債権・債務の相殺処理について
日本本社とタイ現法との間の資金決済を効率的に実施することにより両社にて発生する海外送金の銀行手数料を削減する目的で、債権・債務の相殺処理を行うことがあります。債権・債務の相殺処理とは、タイ現法が有する日本本社に対する債権(売掛金、未収金等)および債務(買掛金、未払金、借入金、支払利息等)を相殺した後の残額(差額)にてタイ現法から日本本社へ(または日本本社からタイ現法へ)海外送金するというものです。
このような債権・債務の相殺処理を行うことについて会計上および税務上の制限はありませんが、タイ国の民商法(会社法)の規定により、(タイ非公開会社では)株式の払込にかかる債権については株主である日本本社に対する債務と相殺してはならないとされている点に留意が必要となります。この規定はいわゆるタイ現法の負債を資本金に組み入れる(振り替える)DES(Debt Equity Swap:デット・エクイティ・スワップ)を禁止しているものです。
上述の通り、日本本社とタイ現法との間の債権・債務の相殺処理についてはDESを除き制限されておりませんが、経理上は相殺処理の対象となる債権と債務を特定するとともに、日本本社とタイ現法との間で相殺処理の合意がなされれていることを書面(相殺合意書)で作成して双方が署名しておく必要があります。
相殺合意書について
日本本社とタイ現法との間の債権・債務の相殺処理にあたり作成する「相殺合意書」について、一般的には以下の項目を含めて作成することになります。
・相殺合意日
・相殺対象となる債権の内容(請求日、請求書番号、商品販売/サービス提供の内容、債権金額、源泉税の金額、源泉控除後の債権金額)
・相殺対象となる債務の内容(請求日、請求書番号、商品販売/サービス提供の内容、債務金額、源泉税の金額、源泉控除後の債務金額)
・相殺対象となる債権と債務の合計額および相殺金額(=債権と債務のいずれか少ない金額)
・債権・債務の相殺後の送金額
・両社(日本本社およびタイ現法)の署名欄
相殺合意書において相殺対象となる債権および債務については、証憑(根拠資料)となる請求書や借入金契約書などを相殺合意書の添付資料としておく必要があります。
また、相殺後の海外送金については送金銀行および着金銀行において相殺合意書を含む送金・着金時に必要な書類を事前に確認しておくことも必要となります。
相殺時の源泉税について
債権・債務の相殺処理にあたり留意しなければならないのが源泉税の控除です。一般的に特定のサービスにかかる債務の支払時に源泉税が課税されることがありますが、相殺処理においても相殺日に源泉税が課税されます。
よって、相殺合意書にも相殺対象となる債務のうち相殺日に源泉税が課税されるものについては、債務金額と合わせて「源泉税の金額」および「源泉控除後の債務金額」を記載する必要があります。
また、相殺日に課税される源泉税については、通常の源泉税と同様に相殺日の翌月に申告・納付を行う必要があります。
松元 勝彦
代表取締役 日本国公認会計士
大手監査法人で17年、うち10年はKPMG(タイ、マレーシア、シンガポール)にて海外駐在。 東南アジアにおける会計・税務・海外進出支援の実績を活かし、タイ国の日系企業から安心・信頼してご相談いただける会計事務所を目指す。