就業規則の変更(不利な変更と有利な変更)
- 労務コンサル
就業規則の変更
労働関係法(10条3項)では、労働条件協約が作成されているか明確でない場合には就業規則が労働条件協約とみなされると規定されています。
では、(雇用主である会社が)就業規則を変更したい場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。ここでは、就業規則が労働条件協約とみなされていることを前提として、就業規則の変更内容が従業員に「有利な変更」になる場合と「不利な変更」になる場合に分けて説明します。
就業規則の不利な変更
会社が、就業規則の「不利な変更」を行う場合、労働条件協約の改定手続を定めた労働関係法13条~18条の団体交渉プロセスを経る必要があります。労働関係法13条~18条の団体交渉プロセスとは具体的には以下のとおりです(下記は、会社から従業員への改定要求を前提として記載しています)。
第13条 労働条件協約の改定要求
労働条件協約の改定の要求は、会社から従業員に対して書面による要求書を通知する必要があります。要求書には、会社の取締役、株主、雇用側委員会など7人以下の交渉担当者の氏名を記載して特定する必要があります。
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第16条 交渉の開始
要求書を受領した側(従業員側)は、従業員側の7人以下の交渉担当者を会社に通知し、要求書を受領した日から3日以内に交渉を開始する必要があります。
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第18条 要求書の合意と掲示義務
会社と従業員が要求書の内容について合意に至った場合、合意事項を書面で作成し、会社および従業員双方の代表者が署名をする必要があります。また、合意文書については合意日から3日以内に従業員の勤務場所にて30日間以上、掲示しなければならないと規定されています。さらに、合意文書については合意日から15日以内に労働省に提出しなければならないとも規定されています。
このように労働関係法13条~18条の団体交渉プロセスを経て、会社が従業員と合意した就業規則の不利な変更については、労働関係法19条において、以下のように従業員を拘束すると規定されています。
第19条 労働条件協約の拘束力の範囲
労働条件協約にかかる合意事項は、要求書に関与した従業員および交渉担当者の選任に参加した全従業員を拘束する。
会社と全従業員の3分の2を超える労働者が組合員である労働組合との間の合意、または会社と全従業員の3分の2を超える労働者との合意は、同一事業における全従業員を拘束する。
また、就業規則の「不利な変更」を行う場合に上記の労働関係法13条~18条の団体交渉プロセスを経ることなく、全従業員から個別に書面による事前同意を取り付ける方法も考えられます。この全従業員から個別に同意書を得るような方法は労働関係法において明記されていないものの、最高裁判所判例 第2127/5555号などにより有効であるとみなされています。
就業規則の有利な変更
会社が、就業規則の「有利な変更」を行う場合、労働条件協約の改定手続である労働関係法13条~18条の団体交渉プロセスを経る必要はありません。変更内容を従業員に掲示(公示)した時点で当該変更は有効であるとみなされます。
これは、労働関係法20条において、「労働条件協約が有効である限り、合意事項に抵触する内容の雇用契約を(会社は)いかなる従業員とも締結してはならない。ただし、雇用契約が従業員にとって有利である場合はこの限りではない」と規定されているためです。