就業規則の概要(記載内容、言語、作成・掲示義務)と労働条件協約
- 労務コンサル
就業規則
労働者保護法(108条1項)において就業規則は少なくとも以下の記載内容を含まなければならないと規定されています。
(1)労働日、通常の労働時間および休憩時間
(2)週休日、休日の原則、祝祭日
(3)時間外労働および休日労働の原則
(4)賃金、時間外労働手当、休日労働手当、および休日時間外労働手当、ならびにその支給日および支給場所
(5)有給休暇、疾病休暇、その他の休暇日および休暇取得の原則
(6)服務規程および懲戒処分
(7)苦情申し立て
(8)解雇および解雇手当
なお、就業規則に記載すべき各項目については他回にて詳細を説明していきます。
労働条件協約と就業規則
就業規則に類似するものとして労働関係法では労働条件協約が規定されており、協約の作成義務について、従業員が20名以上の会社は書面にて作成しなければならないと規定されています。また、労働関係法(11条)において労働条件協約は少なくとも以下の記載内容を含まなければならないと規定されています。
(1)雇用または労働の条件
(2)労働日および労働時間
(3)賃金
(4)福利厚生
(5)解雇
(6)苦情申し立て
(7)合意事項の追加修正や更新
ここで労働関係法(10条3項)では、労働条件協約が作成されているか明確でない場合には就業規則が労働条件協約とみなされると規定されています。よって、雇用契約書が会社と個々の従業員との間の個別の労働にかかる契約であるとするならば、就業規則や労働条件協約は会社と従業員全員との間の労働にかかる契約(協定)であると言えます。
就業規則の言語・作成義務・掲示
就業規則の言語について、タイ語で作成しなければならないと規定されています(同法108条1項)。よって、実務的にはタイ語を正本として、英語版または日本語版を作成するのが一般的だと考えます。一方、雇用契約書の言語については規定されていませんが、契約当事者である会社および従業員の双方が理解できるためにタイ語または英語(またはその両方)にて作成するのが一般的だと考えます。
次に就業規則の作成義務について、従業員が10名以上となった日から15日以内に作成しなければならないと規定されています(同法108条2項)。また、その後に従業員が10名未満となった場合でも就業規則は廃止することは出来ず、維持しなければならないとされています(同法111条)。
最後に就業規則の掲示について、会社は従業員が容易に閲覧できるように事業所内に掲示しなければならないと規定しており(同法108条3項)、掲示方法は電子的方法(例えば、社内のイントラネットや共有フォルダ内での掲示)も認められています。
就業規則、労働条件協約、雇用契約書の優先順位
会社と従業員との間において、就業規則、労働条件協約、雇用契約書が存在する場合にその優先順位が気になります。ここで、労働関係法(19条、20条)において、労働条件協約は合意事項に署名した会社、従業員および交渉代表者の選出に関与したすべての従業員に適用されるとあり、労働条件協約に反する雇用契約を締結してはならない(ただし、雇用契約が労働条件協定より有利な場合を除く)と規定されています。
よって、本条によると労働条件協約は就業規則や雇用契約書に優先して適用されるように解釈できます。ただし、就業規則や雇用契約書が労働条件協約よりも従業員にとって有利な場合には、労働条件協約に優先して就業規則や雇用契約書を適用することもできると解釈されます。