個人所得税|従業員への福利厚生費にかかる課税・非課税
- 記帳代行・試算表作成
- 税務申告
- 経理代行
従業員への福利厚生費
会社から従業員への直接的または間接的に福利厚生の目的で支出する経費があります。
<福利厚生の目的で支出する経費例>
・プロヴィデントファンドの会社拠出金
・グループ医療保険の保険料
・医療費補助
・健康診断の費用
・アニュアルディナーの会場代や食事代
・社内研修旅行(交通費、会場代、食事代)
・工場のキャンティーン食事費用
・永年勤続表彰の金品
・日本人駐在員のワクチン接種料
・日本人駐在員のビザ・ワークパーミット申請料
・日本人駐在員の子女学費補助
・日本人駐在員の海外医療保険
また、会社が従業員に対して(経費精算書により)支出する直接的な費用と、会社がサプライヤー(保険会社、旅行会社など)に対して支出する間接的な費用とあります。
これらの会社から従業員への福利厚生の目的で支出した経費について、従業員の個人所得税において課税所得の対象となるか否かについて説明をしていきます。
福利厚生費に関連する非課税所得
歳入法42条および規則126号にて個人所得税における非課税所得が列挙されています。その中で会社から従業員への福利厚生費に関連する非課税所得については以下のとおりです。
歳入法42条(()内は条文番号)
(2)業務に必要不可欠な旅費交通費の実費
(3)公務員と同額の出張手当およびガソリン手当
(4)雇用開始時および雇用終了時に必要不可欠な旅費交通費の実費
規則126号(()内は条文番号)
(4)従業員および従業員の配偶者、親および扶養する直系卑属(血縁関係のある子、孫)への医療費補助
(34)制服/ユニフォーム(年間2着まで非課税)
(77)タイ国内の保険会社へのグループ医療保険料
ただし、上記の福利厚生費が個人所得税において非課税所得となるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
①就業規則や社内通達などで福利厚生が明示されており、従業員全員が認識していること
②従業員全員に対して公平に付与されていること(役職や年齢による差異は合理的であれば実務上は問題ないと考えられている)
③福利厚生の内容が従業員のモチベーションをあげ、会社の利益獲得または事業活動に関連する内容であること
福利厚生に関連する課税所得
会社から従業員への福利厚生について課税所得となる主な例は以下のとおりです。
・特定のタイ人従業員に対する福利厚生の支出
・永年勤続表彰の金品
・日本人駐在員のワクチン接種料
・日本人駐在員のビザ・ワークパーミット申請料
・日本人駐在員の子女学費補助
・日本人駐在員の海外医療保険
福利厚生費の損金算入(法人所得税)
会社から従業員への福利厚生について(法人所得税における)損金算入できるか否かについて、歳入法65条の3に損金不算入となる支出について規定されています。この中で福利厚生費に関連する項目は以下の通りです(()内は条文番号)。
(2)プロヴィデントファンド以外の基金への拠出金
(3)私的な支出、贈与、寄付金
(4)接待費/交際費(損金算入の限度額あり)
(13)利益獲得または事業活動と関連がない支出
(18)支払者が不明な支出(使途不明金、領収書のない支出)
詳細はコラム「法人所得税|損金不算入費用」をご参照ください。
よって、福利厚生にかかる支出については上記に該当しない場合には損金算入が認められます。上記の中で特に判断を要する項目は「(13)利益獲得または事業活動と関連がない支出」となりますが、「(18)支払者が不明な支出(使途不明金、領収書のない支出)」と合わせて必ず福利厚生にかかる支出が利益獲得または事業活動と関連があることを証憑として残しておく必要があります。
・(外部サプライヤーの場合)サプライヤーの請求書(Tax Invoice)および領収書
・サプライヤー支払のための支払伝票
・(社内経費精算の場合)従業員の経費精算書(上長の承認)および領収書