親子ローンにおける借入金契約の留意点
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借入金契約書の記載事項
親子ローンとして、日本本社(貸主)とタイ現地法人(借主)との間で金銭貸借消費契約書(借入金契約書)を締結することがあります。この場合の留意点について説明をします。
借入金契約書の記載項目は法律では定められていませんが、最低限、以下の項目を含んでいることが多いです。
・貸主と借主の情報(会社名、登記所在地国、登記番号など)
・借入金の目的(運転資本、設備投資など)
・借入金の元本(金額および通貨)および借入日と返済日(返済スケジュール)
・支払利息の利率および利息支払日
・遅延損害金(遅延利息)
・送金手数料の負担
借入金の入金/返済の海外送金
日本本社との親子ローンにおいて借入金の元本入金および元本返済は海外送金となります。借主側であるタイ現地法人において、一般的には着金側の銀行から借入金契約書(英語またはタイ語)を求められることがあるため事前に取引銀行に確認しておく必要があります。
また、元本返済についても借入金契約書および当初着金時の銀行着金証憑を求められることがあるため同様に事前に取引銀行に確認しておく必要があります。
借入金にかかる税務
借入金にかかる法人所得税・源泉税
親子ローンにおける借主側であるタイ現地法人の税務について、元本の返済については課税は生じませんが、利息の支払については日本本社への支払時に15%の源泉税が課税されます。
また支払利息について法人所得税において損金に計上可能であり、いわゆる過大支払利子税制(過少資本税制)はタイでは規定されていません。
借入金契約書にかかる印紙税
借入金契約書にかかる印紙税は、借入金(元本)2,000バーツに対して1バーツ(印紙税率0.5%)であり、最大10,000バーツとなっています。
なお、連帯保証契約書を借入金契約書とは別途、締結する場合には借入金元本が10,000バーツ以上の場合には一律10バーツとなります。
借入金利息の利率
借入金利息の利率については借入金契約書において明記しておく必要があります。タイ民商法の規定により支払利息の利率については、15%が上限利率となっています。また、親子ローンの利率の決定に際して、移転価格税制を考慮することも必要となります。
なお、タイ民商法の規定により遅延損害金(遅延利息)の利率については、5%が上限利率となっています。
借入金契約書における連帯保証
タイ民商法の規定により、連帯保証の契約は無効となると規定されていますが、例外として法人が連帯保証人となることは同意されていれば認められています(よって、個人が連帯保証人となる契約は無効となります)。