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源泉税・付加価値税|出向者にかかる日本本社からの人件費の立替請求

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出向者の人件費の立替請求

タイ出向者(駐在員)の給与について、その一部を日本本社から出向者の日本にある銀行口座に立替払いするケースがあります。これは出向者の家族が日本にいる場合や出向者に日本での支払がある場合など様々な要因により、出向者の日本にある銀行口座に給与立替払いをする必要があることが想定されます。

この場合、立替払いした出向者の給与を日本本社からタイ現地法人へ立替請求することがありますが、税務上の観点から以下について留意が必要です。大切なポイントは、出向者給与にかかる立替請求について、日本本社からタイ現地法人への”サービス提供にかかる請求ではない”ということを明確にすることにあります。
日本本社からタイ現地法人への立替請求が”サービス提供にかかる請求である”と税務上の観点からみなされてしまった場合、(サービス内容や期間により)タイにて支払時に源泉税(PND54)および付加価値税(PP36)の課税対象となってしまう税務リスクが生じるためです。

立替請求の留意点

日本で立替払いした出向者の給与を日本本社からタイ現地法人へ立替請求する場合に留意すべき点は下記3点となります。
➀出向契約書や覚書
➁本社からタイ現地法人への立替請求書の名目
➂会計処理

➀出向契約書や覚書

出向者については、日本本社とタイ現地法人との間で出向契約書や覚書が締結されていることが必要です。記載内容については一般的な出向契約書の内容を記載すれば良いと考えますが、タイ税務上の観点からは、出向者の勤務場所、業務内容がタイ現地法人のみであることを記載しておく必要があります。

➁本社からタイ現地法人への立替請求書の名目

日本本社からタイ現地法人への立替請求書は、「立替請求(Advance Invoice/Reimbursement Invoice)」とするのが良いと考えます。通常の「請求書(Invoice)」として発行されてしまう場合、通常のサービス料の請求、またはアブセンスフィー(Absence fee)の請求であると税務上の観点からみなされてしまうためです。
さらに、立替請求書の請求項目および請求内容は、「××××年○○月にかかる出向者の人件費の立替請求」であることを明確にしておくことも大切です。

➂会計処理

最後に、日本本社から立替請求書を受け取ったタイ現地法人での会計処理は、立替請求書の日付により「給与・賞与・手当等の人件費」として費用計上する必要があります。タイ現地法人側で「業務委託費」などで費用計上してしまった場合、通常のサービス提供であると税務上の観点からみなされてしまうためです。

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