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サービスの輸出とVAT0%の要件

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サービスの輸出

サービスの輸出とは、タイ現地法人がタイ国外の法人に対してサービス提供を行い、請求書を発行することを言います。例えば、タイ現地法人がタイ国外の日本本社やグループ会社に対して、マネジメントサービスを提供して請求書を発行するような場合がサービスの輸出に該当します。
このようなサービスの輸出においてタイ現地法人から発行される請求書について、VAT課税が必要か否かが論点となります。

サービス輸出にかかるVAT0%の要件

サービスの輸出にかかるVAT0%の要件は、歳入局長通達105号で規定されています。サービスの輸出についてVAT0%を適用するためには以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
➀サービスがタイ国内で遂行されていること
➁サービスの結果がタイ国外で使用・利用されていること
➂タイ国外の法人(サービス利用者)に請求書が発行され、タイ国外の法人から対価を受け取っていること
上記3つの条件のうち、特に論点となるのが「➁サービスの結果がタイ国外で使用・利用されていること」の判断となります。このサービスの結果がタイ国外で使用・利用されているについて、同通達に具体的かつ明確な記載はないため、個々の取引ごとに検討が必要となります。

下記では3つの例示とサービスの輸出にかかるVAT課税が必要か否かを具体的に考えていきます。なお、下記の例示とVAT課税の結論は、歳入局のFAQをもとにした弊社の見解であり、歳入局の見解ではありません。

例示1.サービスの輸出についてVAT0%となる例

タイ現地法人は、タイ国内の市場調査を行い、その結果をレポートにして日本本社に提供した。当該サービス提供についてタイ現地法人から日本本社へ発行された請求書についてVAT課税が必要か否か。

結論は、VAT0%が適用できると考えられます。
理由は、当該サービスがタイ国内の市場調査であるため「➀サービスがタイ国内で遂行されていること」の要件を満たし、かつ市場調査の結果は日本本社へレポートとして提供されるため「➁サービスの結果がタイ国外(=日本本社)で使用・利用されていること」の要件を満たしているため、当該サービスの請求についてはVAT0%が適用できると考えられます。

例示2.サービスの輸出についてVAT7%となる例

タイ現地法人は、タイ国内の他の法人に対して機械メンテナンスサービスを提供する。当該機械はタイ現地法人の親会社である日本本社からタイの当該法人へ販売されたものであるため、タイ現地法人はメンテナンスサービスにかかる請求書を日本本社へ発行しているが、この請求書についてVAT課税が必要か否か。

結論は、VAT7%による課税が必要と考えられる。
理由は、当該サービスはタイ国内の法人に対する機械メンテナンスサービスであるため、「➀サービスがタイ国内で遂行されていること」の要件を満たす。しかし、機械メンテナンスサービスはタイ国内の法人により利用されるため、「➁サービスの結果がタイ国外で使用・利用されていること」の要件を満たしていないため、当該サービスの請求についてはVAT7%による課税が必要と考えられます。

例示3.サービスの輸出についてVAT課税なしとなる例

タイ現地法人は、シンガポールの関連会社に対して営業研修を提供する。この営業研修は、タイ現地法人の営業担当がシンガポールに出張して現地で研修を行うプログラムである。当該営業研修についてタイ現地法人からシンガポールの関連会社へ発行された請求書についてVAT課税が必要か否か。

結論は、VAT課税なしと考えられます。
理由は、当該営業研修はタイ国外(シンガポール)にて遂行されているため、そもそも「➀サービスがタイ国内で遂行されていること」の要件を満たしていない。よって、営業研修の請求についてはVAT課税なしと考えられます。

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