法人所得税・付加価値税|棚卸資産の廃棄
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棚卸資産の廃棄
会社が使用または販売できなくなった原材料、製品または商品を廃棄する場合、税務上は「歳入局施行規則NO. POR. 79/2541」に基づく手続を実施する必要があります。
・廃棄日の30日前までの管轄歳入局への書面による通知
・廃棄日の管轄歳入局の担当官の立会(少額の場合、担当官の判断で実施されないことが多い)
・廃棄日の監査人の立会
上記の手続を実施していない場合、廃棄した棚卸資産は時価により販売したとみなされ、法人所得税の課税所得に加算されるとともに、VAT7%の課税対象となるため留意が必要です。
棚卸資産の廃棄手続
棚卸資産を廃棄する場合には以下の手続を実施する必要があります。
1.廃棄前の事前準備
廃棄にかかる事前準備として廃棄予定日の約1.5ヵ月~2ヵ月前から実施ください。
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- 廃棄する棚卸資産(在庫)リストの作成
- 会社の在庫リスト(購入日、請求書番号、在庫名、数量、金額等)から廃棄予定の在庫を抜粋する形式にて「廃棄在庫リスト」を作成します。また、廃棄在庫の合計額も記載しておく必要があります。
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- 廃棄する棚卸資産(在庫)の廃棄前写真
- 廃棄予定の在庫リストの品目・アイテムごとに、「廃棄在庫リスト」へ廃棄前写真を添付します。また、廃棄在庫の選別をした様子も写真に数枚撮っておくことが望ましいです。
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- 廃棄在庫の社内承認
- 廃棄在庫の社内承認資料(稟議書・取締役会議事録など)には、少なくとも承認日、承認者(サイン権取締役)の署名、廃棄(予定)日、廃棄する理由、廃棄在庫の合計数量・金額を記載し、「廃棄在庫のリスト」を補足資料として添付します。
2.歳入局・監査人・廃棄業者への連絡
「1.廃棄前の事前準備」が完了したら歳入局・監査人・廃棄業者へ連絡します。
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- 歳入局への通知
- 廃棄予定日の30日前までに所轄歳入局に在庫廃棄を行うという内容の通知書を提出する必要があります(通知書は必ず所轄歳入局へ手渡ししてください)。
所轄歳入局の担当官が廃棄予定日に立会を行うか否かを判断します。
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- 監査人への連絡
- 会計監査人に在庫廃棄を行うための監査人の立会および廃棄証明の作成依頼を事前に行う必要があります(特に立会予定日のスケジュール調整は事前に相談しておきます)。
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- 廃棄業者への連絡
- 廃棄在庫について廃棄(スクラップ)業者に引取りおよび買取りの連絡をする必要があります。廃棄業者については複数社(3社以上)から買取見積書を入手しておき、税務上は一番買取り価格が高い業者へ依頼することが無難です。
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- (BOI企業の場合)BOIへの通知
- 廃棄在庫がBOI事業のための在庫である場合には別途、BOIへの通知手続が必要となります。
3.廃棄日当日
廃棄日当日に実施すべき事項になります。
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- 廃棄立会の署名
- 廃棄に立会った証明として、歳入局の担当官(もし来れば)、会計監査人、関連部門長(製造・経理・販売部門など)の署名を行ってください。署名は、事前に作成した「廃棄在庫リスト」の表紙に立会人の署名欄を作成しておくと良いと考えます。
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- 廃棄時の写真
- 廃棄時の様子について写真撮影しておくと良いと考えます。