労働者保護法
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労働者保護法
労働者保護法は、タイ国の労務諸法令の中でも最も重要な法律だと言えます。労働者保護法の趣旨は、文字通り“労働者”を“保護”するためにあります。つまり、「使用者」(Employer、会社)と「労働者」(Employee、従業員)の間で締結される労働契約にもとづいて、使用者の管理・支配下におかれている弱い立場の労働者を保護するための法律と言えます。
よって、労働者保護法には「使用者が労働者に対して必ず守らなければならない最低限の労働条件」が規定されており、その趣旨から原則として、使用者と労働者が個別契約(労働契約)や就業規則によって合意していたとしても労働者保護法の規定に反する条件を規定することはできないため注意が必要です。
労働者保護法の法体系
労働者保護法の監督官庁は労働省であり、本法である労働者保護法(Labor Protection Act B.E.2541)以外にも労働省から出されている勅令(Royal Decree)、労働省令(Ministrial RegulationまたはMinistrial Order)、労働者告知(Ministrial Notification)などの下位規定から構成されており、労働省の解釈指針(Clafrification)や労働裁判の判例(Court Case)なども重要な判断指針となります。
労働者保護法の条文構成
労働者保護法の条文構成は以下のとおりです。
章 | タイトル | 条文 | 概要 |
---|---|---|---|
序文 | ー | 第1条 ~第6条 | 定義 |
第1章 | 総則 | 第7条~第22条 | 保証金差入、派遣社員 |
第2章 | 一般労働者 | 第23条~第37条 | 労働時間、時間外労働・休日労働の制限、休憩時間、週休日・祝祭日、有給休暇、病気休暇、私用休暇、その他休暇 |
第3章 | 女性労働者 | 第38条~第43条 | 女子労働者の労働制限、産休、妊婦の労働制限 |
第4章 | 年少労働者 | 第44条~第52条 | 年少労働者の労働制限 |
第5章 | 賃金、時間外労働手当、休日労働手当及び休日時間外労働手当 | 第53条~第77条 | 賃金、休日・休暇の賃金、時間外労働手当、休日労働手当、休日時間外労働手当、1時間当たり賃金、移動時間の賃金 |
第6章 | 賃金委員会 | 第78条~第91条 | 賃金委員会、最低賃金 |
第7章 | 福利厚生 | 第92条~第99条 | 労働福祉委員会 |
第8章 | (廃止)業務上安全、衛星及び環境 | 第100条~第107条 | (廃止) |
第9章 | 管理 | 第108条~第115条 | 就業規則、苦情申立て、労働者名簿、賃金台帳、労働関係書類の保管義務 |
第10章 | 停職 | 第116条~第117条 | 停職 |
第11章 | 解雇補償金 | 第118条~第122条 | 解雇補償金、定年、懲戒解雇、特別解雇補償金 |
第12章 | 苦情申立及び苦情審査 | 第123条~第125条 | 労働監督官への申告、労働監督官からの調査・命令 |
第13章 | 労働者福祉基金 | 第126条~第138条 | 労働者福祉基金 |
第14章 | 労働監督官 | 第139条~第142条 | 労働監督官の権限 |
第15章 | 文書の送付 | 第143条 | |
第16章 | 罰則規定 | 第144条~第159条 | 罰則 |
経過規定 | ー | 第160条~第166条 |