法人所得税|貸倒損失・貸倒引当金
- 記帳代行・試算表作成
- 税務申告
貸倒損失(貸倒引当金)とは
貸倒損失(貸倒引当金)とは、債権(売掛金や未収入金など)が回収不能または回収の懸念がある場合において、回収不能または回収懸念がある金額について債権から控除(または引当金計上)することを言います。
通常、債権が回収期限までに顧客から回収されていない場合、滞留債権として把握して顧客へ回収の督促を行うことになります。しかし、顧客からの債権の回収が行えない場合や回収に懸念がある場合には、会計上の処理として債権を貸倒損失として費用認識する、または貸倒引当金を計上して貸倒引当金繰入の費用認識をすることになります。
税務上の損金要件
貸倒損失および貸倒引当金繰入にかかる税務上の処理(損金計上の要件)については財務省令(Ministerial Regulation)第186 号に規定されており、最新版は2020年1月1日から適用されています。省令では各債務者ごとの債権金額によって損金算入の要件を以下のように規定しています。
債権金額200万バーツ超
債権金額が200万バーツ超の債権を貸倒処理する場合、損金算入するためには以下を満たす必要があります(実際の省令はもっと細かいのですが概ね以下のとおりです)。
➀合理的に支払請求がなされ、その証拠を有しているが、
・債務者が死亡、失踪しており債務者に財産がない
・債務者が事業を停止しており、他の債務者に返済した場合の残余財産がない
➁民事訴訟により裁判所の強制執行命令が出されており、強制執行官の調査書により支払能力がないことが明らか
③破産手続により残余財産の分配において債務者の支払能力がないことが明らか
債権金額20万バーツ超、200万バーツ以下
債権金額が20万バーツ超、200万バーツ以下の債権を貸倒処理する場合、損金算入するためには以下を満たす必要があります(実際の省令はもっと細かいのですが概ね以下のとおりです)。
➀合理的に支払請求がなされ、その証拠を有しているが、
・債務者が死亡、失踪しており債務者に財産がない
・債務者が事業を停止しており、他の債務者に返済した場合の残余財産がない
➁民事訴訟、または破産宣告を裁判所が認めており、債務者への支払請求の申請が裁判官より認められていること
③破産裁判・宣告等について裁判所が認めており、残余財産の分配について裁判官より認められていること
なお、➁③は会計期末から30日以内に貸倒処理することが取締役会にて承認されていなければならない。
債権金額20万バーツ以下
債権金額が20万バーツ以下の債権を貸倒処理する場合、損金算入するためには以下を満たす必要があります(実際の省令はもっと細かいのですが概ね以下のとおりです)。
合理的に支払請求が行われたが、未だに全く支払がない状態であること。また、債務者へ請求訴訟を提起すると、請求金額を超える費用が発生することが明らかであること。
なお、上記の債権金額とは、取引または請求書の単位での債権金額ではなく、同一の債務者に対する債権金額の合計にて判断する必要があります。