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タイ進出|現地法人と駐在員事務所の比較

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タイ国への進出形態

タイ国への進出において、進出形態をどのように決めれば良いかというのは重要な検討事項になります。一般的にタイ国への進出には下記の3形態があります。
・現地法人
・外国法人の支店
・駐在員事務所
また、進出形態を変更する場合には当初の形態から新しい形態への転換は出来ませんので、当初の形態(駐在員事務所)を閉鎖して、新たな形態(現地法人)を設立する必要があります。
なお、外国法人の支店は特定の事業(銀行、国際運送など)でのみ利用されることが多いため説明を割愛します。

現地法人

「現地法人」は、タイ国への進出において最も一般的な進出形態となります。外資規制の範囲内で様々な事業活動(営業・収益活動)を行うことが可能であり、後述する駐在員事務所が実施可能な活動以外の事業活動を行うのであれば「現地法人」を設立することになります。
なお、現地法人は、商務省へ登記手続を行うことにより設立されます。

駐在員事務所

「駐在員事務所」は、タイ国への進出においてよく利用される進出形態です。駐在員事務所は現地法人と異なり可能な活動内容が下記の5項目に限定されており、営業・収益活動を行うことはできません。

1.本社、関係会社またはグループ会社へのタイ国ビジネス状況の報告
2.本社、関係会社またはグループ会社の新製品、新サービスの紹介・説明・情報提供
3.本社、関係会社またはグループ会社のためにタイにおいて買い付ける物品またはサービスを探すこと
4.本社、関係会社またはグループ会社のためにタイにおいて買い付ける物品の品質管理・製品コントロール・検査・検品を行うこと
5.本社、関係会社またはグループ会社がすでに販売しタイ国へ輸入された物品に関して、タイにおける代理店または顧客に対して助言を与えること

なお、駐在員事務所は、商務省へ登記手続を行うことにより設立されます。

現地法人と駐在員事務所の比較

現地法人と駐在員事務所の主な違いについて以下に比較します。

スクロールできます
  現地法人 駐在員事務所
事業活動 営業・収益活動を含む様々な事業活動が可能(外資規制の範囲内で可能)。 営業・収益活動は不可。活動は5項目に限定される。
日本人の駐在(Visa/WP)

資本金200万バーツ

タイ人4名の雇用(BOI例外あり)

本社送金200万バーツ

タイ人1名の雇用

会計・決算・法定監査 会計記帳は必要で決算期は選択可能。年1回の法定監査も必要。 会計記帳は必要で決算期は親会社の決算期と同じ。年1回の法定監査も必要。
税務申告

法人税・源泉税の申告は必要。

VATの申告も必要。

法人税・源泉税の申告は必要。

VATの申告は不要。

タイ銀行口座

開設可能。

開設可能。

閉鎖・清算

閉鎖・清算前に税務調査が必ず実施され、閉鎖・清算まで時間を要する。

閉鎖・清算まで現地法人に比較して時間を要さない。

タイ国への進出形態として、現地法人なのか、駐在員事務所なのか、を判断するうえで重要な検討事項は2つあります。

営業・収益活動を行うか否か

タイ国で営業・収益活動を行う場合には現地法人、営業・収益活動を行わずに本社の補助的活動を行う場合には駐在員事務所が望ましいと考えることができます。
つまり、タイ国への進出にあたり、すでに販売先・サービス提供先となる顧客や市場が存在している場合、製造業を行うなど事業活動が明確な場合、人や物などある程度の投資の意思決定がなされている場合には現地法人を選択する方が望ましいと言えます。
一方、タイ国への進出にあたり、まだ販売先・サービス提供先となる顧客がなく、そのような顧客や市場の有無を調査する目的である場合や本社の製品・サービスの紹介・説明・情報提供を行う場合には駐在員事務所を選択する方が望ましいと言えます。

日本人駐在員とタイ人雇用の人数

タイ国にて日本人が駐在するために必要なVisa/WPの要件の1つとしてタイ人雇用人数があります。具体的には、日本人1名につき現地法人であれば最低4名のタイ人雇用が必要となってしまいますが、駐在員事務所であれば最低1名のタイ人雇用で済みます(タイ人雇用には最低賃金以上の給与支給が必要)。
つまり、タイ国への進出にあたり、最小限のコストで活動を行う場合には駐在員事務所を選択する方がタイ人雇用のコストを抑えられる観点で望ましいと言えます。

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